こういった悩みを抱えていませんか?仕事が辛いと感じる原因は、さまざまです。上記以外にも休息ができない状況や自分の話を聞いてくれる人がいない状況であったりすると、仕事が辛くなり、身体に影響が出ることがあります。しかし、「なんとなく憂鬱な気分になる」など、ストレス要因になっていることがはっきりとは分からないこともあると思います。
そこで、今回は、自分が、仕事のどんなことにストレスを感じて、どんな風に今は対応しているのかを5つのステップで整理していきながら、より自分にあった対応策を見つけていく方法をお伝えします。ぜひ好きな飲み物を片手に、紙やスマホのメモに書き込みながら整理してみてください。
まずは辛いと感じることを書き出してみましょう。「仕事に行くのが嫌だな」と感じるとき、どんな場面が頭をよぎるでしょうか?ここではよくある仕事が辛いと感じる場面を10個ほど挙げてみました。下記の中から選んだり、他にも思いついたものを書き出してみてください。 書き出す際はできるだけ、具体的に客観的に書くのがポイントです。
続いては、「辛い」状況における「自動思考」を書き出してみましょう。自動思考とは、自然と頭の中に浮かんでくる考えやイメージです。深く考えずに、ぱっと頭によぎることを書き出すのがポイントです。
ここでは、「上司、同僚等とコミュニケーションが取りにくい」を例に挙げて、自動思考を考えてみます。
辛いこと:上司、同僚等とコミュニケーションが取りにくい
自動思考:
・「変なやつだと思われてそうだな」
・「何を話したらいいんだろう」
・「臨機応変に返答できたらいいのに」
・「〇〇と言ったら、機嫌を損ねそうだし…」
・「早く切り上げたい」
ここまでで、辛いと感じる場面や、その時の浮かんでくる考えが整理できてきたのではないでしょうか。続いては、考えではなく、心の状態を見てみましょう。辛いなと思う状況において、どんな気持ちや感情があるでしょうか?「辛い」以外にも感じていることがないか、書き出してみましょう。
ぱっと浮かばないときは、感情の輪(Wheel of Emotions, R.Plutchik)の中から感情を選んでみてください。
辛いこと:上司、同僚等とコミュニケーションが取りにくい
自動思考:「変なやつだと思われてそうだな」「何を話したらいいんだろう」「臨機応変に返答できたらいいのに」「〇〇と言ったら、機嫌を損ねそうだし…」「早く切り上げたい」
気分・感情:不快、焦り、不安、落胆、困惑、緊張、みじめ、イライラする
いかがでしょうか?
「辛い」以外にも自分の中には様々な感情があったのではないでしょうか。
さて、続いてです。
次は、自分の身体に注目してみます。身体も敏感に「辛い」状況に反応しています。
ここでは、身体反応の例を10個ほど挙げてみます。当てはまるものや、思いついたものを書き出してみましょう。
辛い状況に遭遇したときにその場で生じる身体反応もあれば、「眠れない」など、帰宅してから現れる身体反応もあります。
「上司、同僚等とコミュニケーションが取りにくい」を例に挙げて、身体反応までを整理してみます。
「辛い」こと:上司、同僚等とコミュニケーションが取りにくい
自動思考:「変なやつだと思われてそうだな」「何を話したらいいんだろう」「臨機応変に返答できたらいいのに」「〇〇と言ったら、機嫌を損ねそうだし…」「早く切り上げたい」
気分・感情:「不快」「焦り」「不安」「落胆」「困惑」「緊張」「みじめ」「イライラする」
身体反応:呼吸が速くなる、肩が凝る、食欲不振、寝付きが悪い
これまで、「辛いこと」に対しての自分の考えから、身体の反応を見てきました。これらに対して私達は、何かしらの対処法をとっているはずです。続いては、自分が今、どのように対処しているのかを書き出してみましょう。
例えば、以下のような対処法がよくとられるものとして挙げられます。
このように、何かしらの行動をとる対処法もあれば、考え方に焦点を当てた対処法もあります。あえて何もしない、というのも一つの対処法です。
「辛い」ことについて、その状況や、自分の考え、感情、身体反応、そして現在の対処法までを整理してきました。ここでは、書き出したものを少し眺めてみましょう。
「辛い」こと:上司、同僚等とコミュニケーションが取りにくい
自動思考:「変なやつだと思われてそうだな」「何を話したらいいんだろう」「臨機応変に返答できたらいいのに」「〇〇と言ったら、機嫌を損ねそうだし…」「早く切り上げたい」
気分・感情:「不快」「焦り」「不安」「落胆」「困惑」「緊張」「みじめ」「イライラする」
身体反応:呼吸が速くなる、肩が凝る、食欲不振、寝付きが悪い
現在の対処法:外の空気を吸いにいく、マッサージに行く、お酒を飲む、あきらめる、自分を責めて納得させる、自分も頑張っていると励ます
自分自身がどんなことに「辛い」と感じていて、頭や心、身体にはどんなことが生じているのかを眺めてみることを「セルフモニタリング」といいます。
セルフモニタリングには、客観的に自分に起きていることを捉えられたり、「辛い」ことに巻き込まれず少し距離を取れるようになるといった効果があります。漠然と「辛い」と感じていた奥には、実は「〇〇したい」という願望があったり、本当は怒っている自分がいることに気づけるかもしれません。
また、現在の対処法を見てみると、うまく対処できているものもあれば、そうでないものもあると思います。例えば、お酒を飲んでその場ではイライラする感情に対処できても、ぐっすり眠れず、寝覚めが悪くなったりすることもあります。また、自分を責めて納得させていると、一見、対処できたように感じていても、自分を責める体験が重なると自己否定感が強くなり更に不安が強くなる場合もあります。
対処法は多いほど様々なことに対応できるので、この機会に、オリジナルの対処法リストを作ってみるのもよいでしょう。
行動的な対処法と、考え方に焦点を当てた対処法に分けて考えてみるのがポイントです。
行動と考え方は私達が意識的に変化をさせやすいためです。また行動はお手軽にできるものもあれば、お金や物理的なコストがかかるものもあります。考え方に焦点を当てた対処法は、「自分のできているところを考えてみる」等、頭で考える点で実行しやすい一方で、時には考えるばかりでは息づまってしまうこともあると思います。その時々で使い分けられるよう、行動と考え方のどちらもの対処法を考えてみましょう。
ここまで、「仕事が辛い」ことについて、自分でできる対応策を紹介してきました。しかし、辛いときには、1人きりで乗り越える必要はありません。
対処法に、「誰かに相談する」と書いた人もいるかもしれませんが、「上司や同僚、家族には言いにくい」と感じる場合もあるかもしれません。
そんな時や、「今の対処法ではなんだかうまくいかない」という場合には、専門家に相談するのも一つの対処法です。
臨床心理士や公認心理師は、心の専門家の一つです。専門家への相談をカウンセリングといい、一緒に今の状況や気持ちを整理したり、別の角度から捉えてみたりしながら、より自分に合った考え方や対応を探していきます。
モス心理相談室は、仕事に対して不安を感じている今のあなたに届けたいサービスです。「仕事が辛い」「今の状況や気持ちを聞いてほしい」と感じた人は、ぜひモス心理相談室を活用してみてください。
<参考・引用文献>
1)熊野宏昭 他 (監修) 『「キラーストレス」から心と体を守る! マインドフルネス&コーピング実践CDブック』主婦と生活社 2017年
2)伊藤絵美 (著) 『セルフケアの道具箱』晶文社 2020年